UXライティングやマイクロコピーを学んだ話

UXライティングやマイクロコピーを学んだ話

先日、UXライティングやマイクロコピーについての本を読んだのでご紹介します。私はこれまでデザインは学んできましたが、ライティングやコピーについて勉強する機会は中々ありませんでした。
Clock Icon2023.01.30

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今回「UXライティングの教科書 ユーザーの心を惹きつけるマイクロコピーの書き方」を読みました。まず書籍の内容を簡単にご紹介します。

そもそもマイクロコピーとは?

マイクロコピーとはユーザーインターフェイスに付記するちょっとした言葉や短文のことです。 これはユーザーが起こす行動に直接影響を与えます。

  • 行動を起こす前にモチベーションを向上させる
  • 行動に伴って指示を与える
  • 行動の後にフィードバックを返す

本書の原文通り太字で強調しましたが、ユーザーの行動へ影響が大きいのがマイクロコピーということです。
本書はPart1~3まであり、それぞれのPart内に複数の章で構成されています。

Part1 ボイス&トーン

  1. 第1章 ボイス&トーンのデザイン
  2. 第2章 会話体ライティング
  3. 第3章 モチベーションを高めるマイクロコピー

Part1はマイクロコピーの選定基準を作成するために考慮すべきことが解説されています。Part1のタイトルでもある「ボイス&トーン」は語り口を意味しています。本書はブランドのボイス&トーンをデザインし、それに基づいてマイクロコピーを書く方法を解説しています。
個人的にはPart1に本書の要点が詰まっていると感じました。

ボイス&トーンをデザインして管理する

ボイス&トーンはブランド価値をベースに、言葉を通じてどのような個性を伝えていくのかを選びます。
そのためにはまず組織のビジョンやミッションなどの理解から始まり、ブランド活動に必要な価値を選定した上で個性を言葉にする必要があります。ブランドを1人の人物に例えて人柄や話し方を想像してもいいかもしれません。
次にユーザーについて理解し、ニーズや抱える問題を把握します。そしてブランドとユーザーで築きたい関係性を定義し、ボイス&トーンのスタイルガイドを設定します。
スタイルガイドを設定する意図としては、ライティングはつい自身の思考回路に従い使い慣れた言葉を並べてしまう、簡単には打ち破れない習慣だからだそうです。スタイルガイドを作成した後も都度スタイルガイドに立ち返り、ライティングを見直すことが必要です。

Part2 エクスペリエンスとエンゲージメント

  1. 第4章 会員登録、ログイン、パスワードの復元
  2. 第5章 メールマガジンの配信登録
  3. 第6章 お問い合せ
  4. 第7章 エラーメッセージ
  5. 第8章 成功メッセージ
  6. 第9章 エンプティステート
  7. 第10章 プレースホルダー
  8. 第11章 ボタン
  9. 第12章 404エラー:ページが見つかりません
  10. 第13章 待ち時間

Part2では、Webサイトやアプリで目にする基本的な操作画面でボイス&トーンを意識したマイクロコピーを書く方法について具体的に解説しています。操作画面でどのような行動の指示を与えるのが適切なのかについて述べられているので、ユーザーインターフェイスの基礎知識的な内容も含まれます。

Part3 ユーザビリティ

  1. 第14章 マイクロコピーとユーザビリティ:基本原則
  2. 第15章 疑問に答え、知識のギャップを埋める
  3. 第16章 不安や懸念を軽減する
  4. 第17章 エラーやトラブルを防止する
  5. 第18章 マイクロコピーとアクセシビリティ
  6. 第19章 複雑なシステムのためのマイクロコピー

Part3では主にユーザーの体験向上の観点から見たマイクロコピーについて述べられています。
ユーザーが操作中に不安に感じるであろう箇所へフォローを入れるようなマイクロコピーの話や(例えば支払い決済や無料の資料請求)、アクセシビリティに配慮すると自ずと誰もが操作しやすい画面になるという話もありました。本書の中ではアクセシビリティで具体的に気をつけるべきポイントも述べられています。

今すぐ心掛けられそうな改善

理想を言えばブランドのボイス&トーンに沿ったマイクロコピーを作ることが大切ですが、ブランド理解やボイス&トーンのスタイルガイド策定には時間を要します。ただマイクロコピーとして違和感がないかを見直すことはすぐにできるのではないでしょうか。その際心がけたいポイントは「口頭で言わないような表現は避ける」ことです。書き言葉だと、普段口にしないような堅苦しい言い方をすることがあるかと思います。真のサービス思考を目指すならば、相手がすんなりと理解できる言い方を心がけましょう。
(例)送信された内容確認のため、ご指定のアドレスにeメールが送られます。
→確認メールをあなたのメールアドレスにお送りしました。

各サービスのプレースホルダーを見てみた

今回はマイクロコピーの中でも目にする機会が多いプレースホルダーに焦点を合ててみます。
(プレースホルダーとは、入力フォームに仮で入っているテキストのことです)
先日興味深いプレースホルダーを発見しました。

日本経済新聞の各デバイスのプレースホルダー

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検索窓のプレースホルダーといえば「キーワード検索」や「キーワードで探す」が定番の言葉かと思います。
PC版Webサイトの検索窓のプレースホルダーには「記事・株価を検索」と具体的に検索するであろう言葉が入っています。モバイル版Webサイトは「記事、企業、株価などを検索」となっています(少し薄くて見えにくくなっています)。日経電子版モバイルアプリでは「キーワードで記事を検索」だけしか入っていません。
PC、モバイル、Webサイト、アプリ…それぞれの媒体でそれぞれのユーザーが検索しそうなプレースホルダーにしているだろうと推測します。

Yahoo! モバイル版Webサイトとモバイルアプリのプレースホルダー

Yahoo

Yahoo!の検索窓のプレースホルダーは「今日は何の日」となっています。「今日が何の日かと言った些細なことでもYahoo!で検索してみてね」みたいなメッセージでしょうか?Yahoo! のサービスを理解している方ならば何かしら理解できるのかもしれませんね。ちなみにYahoo!モバイルアプリのプレースホルダーは「ワードを入力」というかなりシンプルなものでした。

Booking.com PC版Webサイトのプレースホルダー

booking

世界各国でサービスを運営しているBooking.comのPC版Webサイトは、英語のプレースホルダーが中々素敵です。「Where are you going? (どこに行きましょうか)」と言われると、どこか旅行に行こうかなという気分になりますね。日本語だと「目的地」となっているのは、少し寂しいような気がしますが、これこそお国柄なのかもしれませんね。

試しにプレースホルダーのマイクロコピーを考えてみる

書籍の内容を参考に、自社のプロフィールビュアーサービスProfllyの検索窓のプレースホルダーを自分で考えてみます。

現状のダイアログ
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Proflly のサービス利用者を総称して「同僚」という意味のコワーカー(Coworker)と呼びます。
シンプルかつサービスに合わせた言葉が入っていてわかりやすいです(私が関わる前にできていたプレースホルダーです)

よくあるプレースホルダー
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実際はキーワード検索をしているのですが、何を探すためにある検索窓かということがわかると親切ですね。

よりフレンドリーに
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プレースホルダーをよりフレンドリーなメッセージ性を持った表現に変えてみました。現状のサービスとはボイス&トーンが異なりますが、このようなボイス&トーンのサービスだったら見え方は変わってきますね。

さいごに

マイクロコピーは一見単純そうだなと思っていましたが、逆に些細な言葉だからこそニュアンスが少し異なるだけで受け取り方が変わるということに気づきました。マイクロコピーの言葉は、ユーザーと密なコミュニケーションをとる窓口の従業員が発していると考えるのがわかりやすいかもしれません。今後もユーザーの使いやすさ、理解しやすさを念頭に置いて言葉を選んでいきたいです。

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